こんにちは!こんばんわ!ゆらたろすです!
今回も事例紹介をやっていきます!
※事例紹介をブログにUPすることは本人(ご家族)の了承を得ています。プライバシーを考慮して多少の変更は含みます。
テーマ
元々、外科医の先生だった患者の在宅復帰ニーズと独居のため在宅復帰は難しいと考える家族に対する退院支援
事例紹介
75歳 男性 要介護3(今回初認定)
起床時、呂律難と右上肢脱力、ふらつき著明で救急要請。アテローム血栓性脳梗塞と診断される。
OPEなしで薬・点滴で治療開始。その後、回復期リハビリテーション病院(当院)に転院してリハ開始。
入院時ADLは、病棟内車イス移動で移乗は見守り下で可能。伝い歩きは介助必要で独歩は困難。高次脳機能障害・構音障害が残存。意思疎通は簡単なものであれば可能という状態。高次脳機能障害や構音障害の詳しい検査は拒否されている。入院時FIMは62。
※FIMについてはこちら↓↓↓
社会背景
元々、外科医をされていて65歳の時に引退。妻とは離婚しており現在独居。元妻とは疎遠ではあるが入院手続きなどの際には来院してくださるなど協力的ではある。しかし、今回の入院以外でも何かある度に呼び出されているため今後は施設入所してほしいと希望されている。
本人は元医者ということもあって治療方針を自分で一人で決めてしまうこともあり、検査などは拒否しリハビリも消極的。今すぐにでも在宅に戻りたいという希望が強い。
アセスメント
高次機能障害により本人の障害受容が進んでおらず、自身の病状把握が不十分であると評価する。元医者という自尊心を出来るだけ傷つける事なく支援にあたることが重要。支援方針としては、面談の中で独居生活に戻るために本人にADLの目標を決めてもらい、目標達成できれば介護保険導入の下、在宅復帰の支援をしていく。目標達成できなかった場合は施設入所を検討してもらうように話をもっていく。
支援介入
定期的に本人面談を実施。その中で在宅復帰をするための目標を本人に決めてもらおうとするも、本人は今のままでも家に帰れると主張し、目標設定を拒否。それと同時に介護保険導入も拒否される。根気よく話を聞くと「誰にも迷惑をかけたくない」という思いが強いことが判明する。
その思いを否定はせず、現段階での「家屋評価」の実施を提案。リハビリスタッフと共に自宅に行き、現状生活が一人で出来ないことを知ってもらうことを計画する。患者本人もこれに同意。
家屋評価には当院MSWとリハビリスタッフが参加し、外部からはケアマネが現在決まっているわけではないので地域包括支援センターに同席してもらうように手配。
家屋評価の結果、本人から「こんなに自分ひとりで出来ないとは思わなかった。」という発言があり、これ以降本人の障害受容がすすむことになる。本人との面談の末、ADL目標を「階段昇降が一人で出来るようになること」と決めるとリハビリも積極的に行うようになっていく。
ある日、本人から呼び出しがあり病室に行くと「一人暮らしはやっぱり無理やわ。施設探してくれるか?」という発言があったので、主治医とリハビリスタッフに報告。病状的にこれ以上身体能力が上がる事は難しいという判断のもと施設入所をすすめていく。
入院から130日目に施設に入所が決まり、施設に退院された。
ふりかえり
今回のケースで重要だったのは、検査やリハビリを拒否されている理由を根気よく聞き取った所にあると思います。入院時に検査やリハビリ拒否があった時、主治医からはこのままだと入院している意味がないから即退院という言葉が出て焦りましたが、せめて本人の障害受容をすすめてから退院してもらおうと実施した「家屋評価」から事態が好転しました。あとから考えてみると、患者本人は高次脳機能障害はあるといっても元医者なので「全部拒否したら退院出来る」ことを知っていたのではないでしょうか。脳に障害があるからと決めつけることなく、尊厳を重視した支援が求められることを再認識したケースでした。
最後に
患者が元医者のケースって結構気を使うんですよね~。(笑)
そうなんですね・・・(笑)
この患者さんは脳に障害はあるものの、やっぱり実は色んなことを分かっていたんですかね?
後半は結構、冷静に判断出来ている気がしますけど・・・。
障害によって客観的に判断することが難しくなっていたのは事実です。上手く本人の意見を聞き出すためにSTやMSWが色んな方法を駆使したのでトントン拍子で入所が決まったわけではありません。
だから実際、何処まで本人の判断能力が残存していたかは分かりませんが、少なくても高次脳機能障害だからといって何も分からない老人扱いすると確実に支援は上手くいかないです。
いくら障害が残っているといっても、その人の尊厳を重視した支援が必要なんですね!!
元医者のこの患者さんはとりあえず支援に対して拒否が多かったので困りましたが、その度に「それが先生の判断ですか?」って聞き返すと考え直すことがありました。
やっぱり脳が今ままでのことを覚えているんだ~~!
高次脳機能障害なので記憶はありますし、それを表現することが難しかったり自分では制御出来なくなってるだけので、根気よく聞き出す支援を心がけましょう♪
では、今日はここまで!