こんにちは!今日も事例紹介やっていきます!
※事例紹介をブログにUPすることは本人(ご家族)の了承を得ています。プライバシーを考慮して個人情報は変更しています。
テーマ
早期退院希望の患者とまだ帰ってきてほしくない家族。
話し合うためカンファレンスを実施したが、意見が合わず大ゲンカすることに。
そこに医師が家族側に、リハビリが患者側に加勢し大騒動。
MSWはこういう時どう対応するべきなのか?
事例紹介
83歳 男性 要介護1(今回初申請)
自宅で起床時に呂律困難となり、変に思った妻が受診を勧める。
その日に受診し、脳梗塞と診断され、同日入院。
保存的治療となり、麻痺などの後遺症は見られず。
1週間の入院の後、自宅退院勧められたが、家族がリハビリの継続を希望。
当院に転院し、リハビリをすることになった。
当院、入院時FIM 88
社会背景
妻と二人暮らし。息子が遠方に住んでいるが協力的で、キーパーソンは息子。
金銭的には問題なく、年金と息子の支援でやりくり出来ている。
インテーク
入院当日
「家帰れるって聞いたのに騙された!」と言いながら、当院に到着。本人はリハビリ病院に入院する事を拒否される。
当院としても、強制入院をさせるわけにもいかないので医師が帰宅することを提案。
付き添いしていた息子がこれを拒否し「本人を説得するからちょっと待って下さい」と言って本人を説得し始める。
MSWとしては、急性期病院から聞いていた情報と違う事が多いすぎたため、問い合わせをする。
急性期病院からは「リハビリ病院への転院は家族から説得してもらい、了承を得ている。」とのこと。
家族の説得が終わり、本人も少しだけリハビリをすると合意を得て、入院を開始する。
アセスメント
入院時、家族からの聞き取りで、自宅生活していた時から歩行能力がかなり低下していて、妻が介護していた事が判明。
介護保険の利用は本人が拒否していることもあり、すべて妻一人でやっていたとのこと。
妻の希望は、「せめてトイレを一人で行けるようになってもらいたい」というものであった。
当院で患者は大人しいが、妻に対しては暴言を吐くなども日常的にある様子。
妻は相当な介護疲れがみられ、息子も基本的には妻の味方である。
当院としては、ADLは比較的保たれているため、トイレの自立度をあげれば問題なく自宅退院が出来ると判断する。
支援介入
本人と面談を実施。
本人は「別に歩けるし、トイレもいける。なにを目標にしてリハビリしたらいいのかわからない」と発言。
判断能力もある程度保たれている印象を受ける。しかし、尿意を感じずらくなっており、トイレの失敗がたまにある事は自覚している様子で、失敗しても自分で処理できるようになることを目標にすることで合意する。
本人から呼び出しがあり、面談実施。
「とりあえず何でもいいから帰りたい」という発言がある。
家族に連絡をとり、本人の意思を伝えると、家族はもっとリハビリしてほしいとのこと。
一度、お互いの想いを伝えあう場を設ける事を提案すると、本人と家族は了承する。
本人と家族で話し合う場を設ける。ここには医師とリハビリ、MSWが同席。
本人は「とりあえず帰りたい」という意思を伝えるも、家族は「もっとリハビリをしてほしい」と譲らず、お互いヒートアップし、本人と息子は大声でケンカし始め、妻は泣き出す。
ここに医師が「家族もこう言うてるしもうちょっとリハビリしよ。」と家族側の肩を持つような形で加勢すると、リハビリは「でも、ADLのレベルとしては自宅退院は可能です。」と本人の意思を尊重する形で加勢。
MSWは間を取り持つために、家族の「もっとリハビリしてほしい」というのは具体的にどういう状況になって欲しいのかを聞き出すも、家族は妻の介護疲れを癒すためにも入院期間150日間めいっぱい入院して欲しいというだけで、具体的にこうなったら退院というビジョンはないとの事。
これについては、家族にリハビリ病院の機能を説明。基本的には症状固定の時点で退院であり、150日入院保障するものではないことを伝える。
家族から具体的にこうなったら退院してもいいよというノルマを本人に提示するよう提案。
家族はしぶしぶながら認める。
逆に本人にはどんな高いノルマが来ても受け入れる事、退院後は介護保険を利用して支援してもらい家族の介護負担を軽減することを条件に退院することを提案。
本人もそれを認める。
家族から退院までに出来るようになっていてほしいノルマの提示があり、それを当院の医師とリハビリの意見も混ぜて、本人に提出。本人もそれに向かって頑張るとリハビリに意欲を見せる。
家族から提示されていたノルマを達成したため、ケアマネと連携開始。退院支援を開始。
福祉用具と日中のデイサービスの利用が決まる。
自宅退院される。
ふりかえり
MSWは常に第三者目線で支援をするため、どちらか一方の肩を持つのではなく、意見が平行線で交わらないのであれば、どこで落とし所をつけるのかを探る必要があります。
今回のケースでは、「お互いの意見はそのままでは通らない、折れるところは折れてもらって、その中の最善を探る」ということが出来たのではないかと感じています。
もちろん、はじめは全然ノルマもまとまりませんでしたが、何回も話しをして修正していき完成させました。
医師とリハビリも加勢して、話が収集つかなくなりそうになった時は焦りましたが、そんな中でも冷静に対処していきたいですよね。